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自分でさえ
自分の傷みや哀しみにきづいて
あげられないことがあります。

あの日やってきた彼女は
ひどく疲れた顔をして
哀しい瞳をしていました

なんだか羽根が折れているようで

どうしたの?
と問うと、

ぽつりぽつりと言葉を
押し出すように
話し始めてくれました。

話終わるや否や
彼女はぽろぽろと涙を流して

「やっと泣けました…、ずっとなんだか泣けなかった」と
ほっと安堵するかのように静かに
笑いました。

頑張り屋さんほど、
限界超えても
自分に鞭打って周りの空気を壊すまいと
自分の痛みに見てみないフリする。
多少は誤魔化せても
見えない部分でそれは深く、
こころを侵食するものだったりします。

私が心静かになりたいときに
そっと開く詩集があって、
それを読んでみて欲しくて
彼女に無理やり持たせました。

数日ぶりに顔を見せてくれた彼女は、いつも見せてくれる
弾けるような瑞々しい笑顔で現れて

元気になれました!と

いつも通り沢山の花を嬉しそうに選んで、

本と一緒に週末のお土産の
ハーブティーやお手紙をそっと渡してくれました。

夜、店を閉めてから
そっと詩集をひらいてみると、
手紙とは別に
一筆箋に美しい文字で
どの詩が好きで、
どんなふうに感じたかを
丁寧な想いとともに
したためてありました。

その心遣い
すごいなぁと思いました。

私が心配しているだろうと
早めに顔を見せてくれて
貸した本の柔らかな感想まで。

あらためて、
こんな風に感受性豊かな彼女が
少しでも羽根を拡げやすく
のびのび飛べますようにと
願いました。

ひりひりするくらいの
若く鋭い感性

そのまま
夜叉もいるような
牙を剥くこの世の中から
身を守り
タフに生き抜けますように。

いつも優しく花を愛す彼女の

世界が今日も明日も
美しくありますように。

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