ある満月の夜
繁忙期を超えた満月の日
自営業の友人2人が誘ってくれたテン泊の夜
それぞれに公私ともに忙しい日々を過ごす面々
1人は美容室を10年以上経営し
1人は新しい試みの不動産業を仕掛ける
出会いはもう7~8年前
大抵の私の失敗談も、笑い話も、
頑張って切り開いた今の店のことも
超えられそうにもない壁も逆境も苦しんだことも
人に話せない話も
ほとんど知っている2人
そして肝心なところでは体当たりで怒ってくれたり
ダメ出しを否応なくしてくれる
時に大喧嘩もしたし
冷戦状態で連絡を取り合わない時期もあった
頑張った時は
私以上に評価して褒めてくれる
いつも冷静かつ温かくみていてくれる
ベタベタとつるむこともないし
いつも連絡を取り合うわけでもない
けれど互いに見守り合っているというか
リスペクトし合った上で成り立っている関係性
ある時、
「私の繁忙期が終わったらテン泊にいこうや」
そう声をかけてくれた。
忙しすぎて体調も絶不調でも
パニクるくらいの仕事の量も
山に1ヶ月以上行けなくても
1年分の経理の処理も
その日を楽しみに頑張れた
むしろ実際に雨で中止になったとしても
きっと私はその日を遠足を心待ちにする子供みたいに
その待ち遠しい時間だけでも楽しめたと思う
当日は快晴で桜も満開
桜吹雪を浴びながらテントを設営して
夜ご飯をそれぞれのレパートリーで作り
お裾分けし合う
明るいうちから乾杯して
普段の仕事やら遊びやらの他愛もない会話
飲み屋で話すことと同じ内容なのに
なぜか自然の中で話すと肩の力も抜ける
満月の夜だったから、
山の間から覗く大きな月に
それぞれにしばし見惚れていた
早くから飲んでいるものだから
早い時間にそれぞれテントで就寝
別にこれといったことをするわけでもないのに
とても楽しかった
友人と大切なことは
距離感とバランス感覚だと思う
なんでもベッタリと一緒にいれば
いい時はいいけれど
その逆も然りで
必ず歪みが生まれるのが人間のサガ
程よい距離感で互いのフィールドを懸命に生きる
刺激をもらったり
誇らしく感じたり
頑張ってるから私も頑張ろうと奮起できるし
生き様に胸を張っていたいなと思う存在
あまりにも美しく輝く満月を見上げながら
次の約束なんかいらないし
こんな日があれば
また逞しく生きていけると思った
とても満たされた野外活動
そんな2人と友人として関われている自分自身を
褒めてあげようと思った夜
瞬間瞬間を全力で感じることが
ヨガの真髄だと昔聞いた
最近専らそれが自然とできるようになった
楽しいからまたこんな日が来ればいい!ではなく
最高にその瞬間を楽しめたなら
未来は根拠なきワクワクでしか満たされなくなる
いつ誰と会えなくなっても
いつこの命が燃え尽きてしまおうとも
きっと悔いはない
今この瞬間を必死に生きること、
感じることに集中できる自分を
今はとても好きになった
多くの幸せも財産もいらないから
周りの大切な人たちが健やかに
笑っていることが多いといいなと願う
身の丈にあった日々を願えば
温かく心を包みこんでくれる
最近はとても深呼吸がしやすい
あの満月の夜を
きっとずっとホッカイロみたいに
抱えて生きていけるんだろう
楽しかったな
ありがとう
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