店を始めてもうすぐ5年目

あっという間と言えばあっという間
色々あったなと思い返せば
本当にいろんな人に出逢い、それまでの会社員時代以上に
濃密に様々な経験や思考を巡らせたように思います。

自営業だから、会社員だからの立場の違いというより
自営業の場合、自身の思考や気力が止まったら
全ての機能が停止してしまうということ

お客様の暮らしの中で花が存在し
何か贈りたい、想いを届けたいと願う時に
花や植物が思い浮かぶ方が1人、また1人と増えて
少しずつ店の輪郭を成していくことも知りました。

有難いことにオープン当初から忙しくさせていただき
建築空間でより生きた植物や花をスタイリングしたいというコンセプトも
色んな店舗や建築空間を装飾させていただくチャンスにも恵まれました。

それとともに忙しさの中で立ちどまれずに空回りすること
不器用ゆえに息詰まることもありました。
どうすれば今の自分が背伸びせずに店を通して
お客様や地域に喜んでいただけるのか

私が植物を提案する存在意義はなんだろう？
そんなことを考え始めたのは2年目過ぎた頃くらいの頃でしょうか

丁度コロナにより社会の激変の時
思い切って以前より考えていた予約制の営業としたのです。

来たい時に気軽に来れなくなる
敷居の高い近付きにくい店になるのでは？
生花は生き物でその仕入れと供給のバランスや
資金のやりくりは大丈夫だろうか？

やったこともないことをやるのだから
不安は当然と言えば当然
でもその時の私にはそれ以外に自分らしくやっていくための
選択肢がなかったのです。

いつもその方のご依頼に沿ってオーダーメイドで製作します。
ご希望のイメージだけでなく
その方の人となりを理解した上で
できるだけイマジネーションを膨らませたい

次から次に・・の大量生産ではなく
じっくりしっかりと自分の中に落とし込み、
昇華してから
大切にひとつひとつを創り出したい

それが私の性分にはあっているし
沢山押し寄せてごった返す店ではなくて
そっと自分の日常の彩やご褒美として
花を飾りたい方の暮らしにそっと寄り添いたい

理想と現実はなかなかうまくいかないかもしれませんが
誰かがほんの少し深呼吸できる場所でありたいなと真剣に思うのです。

店をしていて知ったこと

笑顔で快活な方ほど見えない部分に傷を持っていたり
悩みを抱えていたりする

口に出してしんどいしんどいと言える人は意外と大丈夫で
そうでない人や人のためにいつも頑張っている人ほど
ガス抜きが下手だったり不器用だったりするのだなと。

花を選んでからほんの少し弱音を吐露する
そのふっと力の抜けた笑顔が見れたら
背中に向けて「無理せず頑張れー！」とエールを送ります。
扉を開けて帰る頃には少し笑顔で軽くなっているような気がする

私が誰かの何かを救えるわけもないし
現実的に助けることはできないかもしれない

それでもここで花たちと健やかに営みを続けていることが
誰かにとっての山小屋のようにひと休みできる
拠り所であればいいなと願います。

小さくていい
不器用でいいから
誰かのため、地域のためを思って
本当に自信を持っていいと思える花を
植物を大切につくりたいと思うのです。

多くの人に選んでもらえなくても
いい店だと感じてもらえなくても
少ない誰かの心に心底ほっとする安らぎとか癒しを
そして止まらないほどのワクワクを
そっと手渡せる店でありたいなと心から思います。

悩んだとき落ち込みそうなときはこう思うようになりました。

明日も明後日も違う自分が待っていてバトンタッチするだけ
私は今日の担当！
今日にのみ全力を尽くそう
今日思いつくことはやり尽くそう
素直である努力をしよう

そう考えると意外とどんなことも
乗り越えられちゃうもので
布団に入って眠る瞬間に
明日を楽しみに待ちわびて眠りにつけます。

さて今日もやり切った！
明日担当の私はどんなことをしでかしてくれるんだろう

楽しみだな